「身近に潜む危険シリーズ9 歩行者その3 横臥事故」
横臥とは 2010/03/19
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週末安全運転ワンポイントアドバイス
「身近に潜む危険シリーズ9 歩行者その3 横臥事故」
Vol.18-1 2010/3/19
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~ 横臥とは ~
またまた新聞の記事で恐縮ですが、気になる見出しを見つけてしまいました。
読売新聞の健康に関する記事で、“くらし 学び”というタイトルでした。
健康と交通事故?と思われる方もいらっしゃると思いますが、
サブタイトルは
「ブレーキ踏む脚力鍛える」
というものでした。
主な内容は、歳とともに脚力が衰え、ブレーキを踏む力が弱まるので
安全運転のためには日ごろから足の筋肉を鍛えておくことが大切である
というものでした。
そして記事の内容を裏づけるものとして実験を行った結果が記載されていました。
実験の内容は、時速40Kmで直進中に合図と共に急停止させ、
停止に要した距離を比較すると言うものです。
結果は
20~49歳の平均値 約15m
65~74 〃 約17m
75歳以上 約20m
となったそうです。
この結果について日本損害保険協会のコメントがあり、
「停止距離の増加は高齢者のブレーキを踏む脚力の弱さが一因となっている」
とのことでした。
この記事では詳しい実験内容が分かりませんので、一概には言えませんが
停止に要した距離が20~49歳の平均値で約15mというのが
空走距離を含まない純然たる停止距離とするならば長すぎる感じがします。
以前にも触れたことですが、40kmの停止距離は空走距離を含め約17mと
お伝えしました。(表1参照)
制動距離だけで見た場合には約9mです。
この値に対し20~49歳の平均値が約15mというのは
いささか開きがありすぎると感じます。
この記事が、純然たる停止距離を示したものならば
更に深刻な問題が浮かび上がってきます。
人間は誰でも目で見て、脳で危険を判断し、足に対してブレーキを踏みなさい
という命令を出し、その命令を受けて足がブレーキを踏むという
一連の経過をたどります。
この過程は誰でも一緒ですが、問題なのはこの一連の過程に要する時間が
人によって違うということです。
老化に伴う、反応時間の遅れです。
反応時間の遅れは空走距離の増加となります。(表2及び3を参照)
表3:反応時間別空想距離表
40kmの停止距離が約17mと言った時には反応時間は0.75秒で計算しています。
高齢者の方では1秒を越える方も珍しくありません。
空走距離が伸びると言う事は、衝突する可能性がより高まると言うことです。
そして、反応の遅れは止まることだけでは無く、
更に発進にも関わってくるのです。
信号の無い交差点での発進や、交差点内での右折待ちの発進時に
判断のタイミングは合っていても、行動までに時間がかかりすぎて
衝突してしまうという事故は後を立ちません。
これらの問題は回を改めてお伝えしたいと思います。
さて、本論の“横臥事故”ですが、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。
今回のメールマガジンのタイトルが「歩行者シリーズ」であることから
人が関係した事故であると想像されていると思います。
その通り、横臥事故は信じられないような状態の人と関係する事故です。
そして、この事故には、ブレーキと反応時間といった問題も深く関わっています。
この詳細につきましては明日お伝えします。
Vol.18-1 end
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