「車の機能シリーズ5 タイヤ編」
ハイドロプレーニング現象 2010/05/16
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週末安全運転ワンポイントアドバイス
「車の機能編シリーズ5 タイヤ編」
Vol.25-3 2010/5/16
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~ ハイドロプレーニング現象 ~
昨日は、タイヤの摩耗度と空気圧についてお伝えしました。
ところで、今年の連休は実に50年ぶりの快晴続きで最高の連休でしたね!
50年ぶりと言うと、ついこの間も50年ぶりの現象が有りました。
4月の降雪です。
「二度あることは三度ある」という諺ではありませんが、雪、晴れと来たら、
今度は雨ではないでしょうか?
50年ぶりの長梅雨なんていうのは勘弁してほしいものです!
それしてもに、雨はタイヤにとって大敵です。
特に大雨の時に発生する可能性が高い現象で、
“ハイドロプレーニング現象”は大変危険です。
みなさんも、教習所でこの現象について聞いた覚えがありませんか?
現象は聞いたことがあっても、経験されたことがある方は
少ないのではないでしょうか?
不意にハイドロプレーニング現象が起こってしまうとパニックに陥ってしまいますが、
発生のメカニズムが分かっていれば、予防及び対処が可能となります。
タイヤには“パターンエッジ”と、細い溝状の“サイピング”というものがあります。
これらは水で覆われた道路を走行している時に、タイヤの接地部分に入り込む水を
排水する役目を持っています。
ところが、土砂降りのような路面が冠水している道路で高速走行をしていると、
タイヤは水を排水しきれなくなり、タイヤのごく一部しか路面と接していない
状態となります。
この状態を“部分的ハイドロプレーニング”と言います。
タイヤのグリップ力がかなり減少している状態です。
更に、この状態で速度を上げた場合、一部接地していたグリップ域も無くなり、
完全にタイヤが浮き上がる状態となります。
この状態を“完全ハイドロプレーニング”と呼び、操作性能や制動力が
著しく低下して、とても危険な状態となります。
この現象は、速度と雨量の関係で、高速道路上で発生する可能性が高い現象です。
大雨の中、速度を単純に上げていくことは考えにくいものですが、
路面の違いなどにより本人の意思とは無関係に、突然、雨が溜まっている部分に
高速で進入してしまうことはよくあります。
例えば、透水性舗装の道路から、通常舗装の道路に変わる部分を思い出して頂くと
分かりやすいと思います。
突然、水の溜まっている道路に進入してしまった恐れから、
ドライバーは不用意にブレーキを踏んでしまいます。
すると、スピンをしたり、ブレーキが効かなくなったりするなど
車両が思いもよらない挙動を示すことがあります。
これがハイドロプレーニング現象の恐ろしいところであり、
ドライバーにとっては、常に身近にある危険でもあるのです。
このハイドロプレーニング現象が発生したことを体感することは
ハンドルを握っているドライバーならば、難しくありません。
運転中にハンドルの感覚が著しく軽くなったように感じると同時に、
車両が感覚的にふわーっと浮いた感じがします。
万が一、この状態になったら慌てず、ハンドルをしっかり持って。アクセルを戻
してエンジンブレーキで徐々に速度を落とすことが唯一の対応策です。
そう、一番大事なことは、“徐々に”速度を落とすことです。
そして、速度が落ち始めると車両が浮いた分だけ沈み、
ハンドルに路面の感触が戻ってきます。
この状態になれば、通常の操作、制動が可能となります。
この現象に遭わないことが一番ですが、
もしもの時に、知っていれば役立つ情報です。
それでは今日のワンポイントアドバイスです。
“雨の高速道路は路面の状況を的確に判断して、
安全な速度で走行することが事故を避ける最良の方法!”
悪天候時の高速道路の制限速度には意味があります。
表示された制限速度を守って安全に走行して下さい!
それではまた、次週をお楽しみに。
Vol.25-3 end
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