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「車の機能シリーズ1 ブレーキ編」

ABSが作動した経験がありますか? 2010/04/11

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 週末安全運転ワンポイントアドバイス
 
 「車の機能シリーズ1 ブレーキ編」
                       Vol.21-3 2010/4/11 
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~ ABSが作動した経験がありますか? ~ 

昨日は急ブレーキについてお話をしました。

今日はいきなり質問です。

運転中に、ABSが作動したことがありますか?

安全運転を普段から励行されているみなさんですから、
乾燥路でABSを作動させることはまず無いと思います。

しかしながら濡れた路面や雪道では意外にABSが働く場合があります。

私自身、15年間、ABS付きの車に乗っていますが、作動したのは2回だけです。

その内訳は、乾燥路で1回、雪道で1回作動しました。

乾燥路での1回は、とても危険なものでした。

私が交差点を直進しようとした時に、右折車が私の車の直前を
強引に右折したので、回避のために急ブレーキをかけたところABSが働き、
間一髪で回避することができました。

雪道では、下り坂の凍結したT字路で作動しました。

これを多いと見るか少ないと見るかは意見の分かれるところです。

ところで、

 「ABSって何処についているかご存知ですか?」

とか、

 「エンジンブレーキは何処にありますか?」

というような意地悪な質問をすると、

 「サイドブレーキは分かるけど…エンジンブレーキは見たことが無い…」

といった答えがたまに返ってきます。

“ABS”はその名の通り、「アンチロック・ブレーキ・システム」のことで、
簡単に言えば、急ブレーキをかけた時にタイヤをロックさせない機能です。

タイヤがロックしないということは、タイヤがロックする寸前に
機械がブレーキを緩めたり、再びロック寸前までブレーキを掛けたりを
ものすごい速さで繰り返してロックしないようにしているのです。

“車は何故止まるのか?”と言えば、それは路面とタイヤの摩擦によって
止まります。

この摩擦がピークに達した時が急ブレーキであり、路面にはスリップ痕が残ります。
(写真1、参照)

写真1:スリップ痕
写真1

 

通常のブレーキではピークに達していないためスリップ痕が発生しません。

ABSの仕組みは、このスリップ痕が発生しないぎりぎりのレベルで、
ブレーキを連続でかけ続けているのです。

(厳密な意味で言えば、判別が難しいレベルで断続的にブレーキ痕が残っています)

さて、本日の本題ですが、ABSは制動距離の問題だけだと思われている方が
多いと思います。

しかしながら、ABSによってタイヤがロックしないと言うことには
他にもとても大切な意味があります。

何か分かりますか?

通常、車は急ブレーキを踏み、タイヤがロックすると
それ以降はハンドル操作が効かなくなります。

 これに対し、ABSが作動した場合は、急ブレーキに近いブレーキをかけながら
同時に“ハンドルを切る”ことが可能になります。

昨日ご覧頂いたシミュレーションソフトPC-Crashでこの違いを再現しました。

全体の流れをシミュレーションした動画をご覧ください。

動画2(全体の流れ)

 

4台の車両が80Km/hで走行していて、前方の2台が急停止しました。

後方の2台は同じく反応し、急ブレーキをかけながら
右にハンドルを切るという設定にしてあります。

唯一の違いは、上の車両はABSが無く、下の車両にはABSがついています。

ABS搭載車両の車内から見た前方映像をシミュレーションした次の動画をご覧下さい。

動画3

結果は一目歴然です。

ABS付きの車両は制動をかけながらハンドル操作を行い追突を回避することが
出来る可能性があります。

 

今日のワンポイントアドバイスです。

 「ABSが作動している時はハンドル操作が出来る!」

もちろんABSが作動しないことが一番ですが、
いざと言う時にこの知識がお役にたてば幸いです。

それではまた来週をお楽しみに!

                        Vol.21-3 end

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