Gセンサーが解き明かす事故の世界 | 週末安全運転ワンポイントアドバイス

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「ドライブレコーダー考察日記」

Gセンサーが解き明かす事故の世界 2010/10/23

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 週末安全運転ワンポイントアドバイス
 
 「ドライブレコーダー考察日記」
                      Vol.44-2 2010/10/23
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~ Gセンサーが解き明かす事故の世界 ~

先週まではドライブレコーダーの本質についてお伝えしてまいりました。

毎日ドライブレコーダーの映像を見ていると
事故にまつわる悲喜こもごもが見えてきます。

今週はその中からみなさんの参考になりそうな部分についてお伝えします。

ドライブレコーダーでは“Gセンサー”という加速度を計測する装置を
搭載しているものがあります。

このGセンサーはとても貴重なデータを収集してくれます。

例えば、Gセンサーの値が大きく変わるドライバーは急発進、急加速といった
“急”がつく運転をしている傾向があります。

つまり、Gセンサーの値が大きく変わるドライバーは運転リスクが大きく、
更に、燃費の悪い運転をしていることになります。

まるで性格診断のようですが、実際、記録された数値は本人と違って嘘をつきません。

一旦身についた運転の癖は、簡単に修正することは難しいのです。

運行管理者の方は、このようなドライバーをいち早く見つけて矯正することが
事故を減らし、会社の繁栄へ繋がると考えています。

ドライブレコーダーは、同乗研修しているのと同じ効果が得られます。

そんなところがタクシー業界にもてはやされた原因かも知れません。

ところで、事故が起こった時に、「ブレーキを掛けた、掛けなかった」という
議論がよくあります。

「ブレーキを掛けた、掛けなかった」は、スリップ痕で判断されてしまう場合が
多いのも事故の特徴です。

そのため、スリップ痕が無いからブレーキを掛けていないと
言われる場合がよくあります。

でもよく考えてみると、みなさんは普段運転している状況で、
ブレーキを掛けた時にスリップ痕がつきますか?

答えは“イイエ”ですよね。

そうなってくると、「ブレーキを掛けた、掛けなかった」を客観的に判断するものは
加速度の記録データとなってきます。

Gセンサーによる記録データ(PDF)

ここで加速度の記録データと共に判断の材料として大切なものに“反応時間”があります。

反応時間とは、目で視認した情報に対し、何らかの動作を行うまでに要する時間です。

通常、一般人の反応時間は平均値で0.75秒とされています。

特別に反応時間の短いプロドライバーなどは0.5秒程度、
逆に高齢者の方なら1秒以上の場合もあります。

反応時間
資料1 反応時間(「図解 自動車事故解析資料集」真正書籍)

この反応時間を基準にGセンサーの値を見ていくと、映像では分かりづらい部分も、
実際に反応をして減速をしているか、全く無反応であるかが分かってしまうのです。

ドライバーがいくらブレーキを掛けたと説明しても、
実際に掛けていなければ機械はそれなりの結果を記録しているのです。

人の証言よりも機械を信じなければいけないと言う意味では、ドライな世界と言えます。

明日は“過失割合の判断基準”についてお伝えします。

                       Vol.44-2 end

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