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「ドライブレコーダー考察日記」

“予見性”と“回避余地” 2010/10/24

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 週末安全運転ワンポイントアドバイス
 
 「ドライブレコーダー考察日記」
                       Vol.44-3 2010/10/24
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~ “予見性”と“回避余地” ~

昨日はGセンサーが解き明かす事故の世界についてお伝えしました。

今日はもう少し、辛らつな事例についてお伝えします。

膨大な数の事故事例を見ていると、

「これで過失が問われるのか?」

という事例に年に数件は遭遇します。

多くの場合は、もらい事故と言うべきものなのですが、
相手側が重症を負ったりした場合、刑事被告となってしまう場合も
無いわけではありません。

そして、ドライブレコーダーの映像が無ければ争うことすらできないものも
少なくありません。

ところで、みなさん、交通事故における過失割合の判断基準は何だと思いますか?

私は、“予見性”と“回避余地”だと思います。

言い換えれば、事故を予見することができず、回避する余地が無ければ
過失とはならないと考えます。

例えば、前方の交差点の信号が青で交差点に進入したら、
交差道路から信号を無視して車両が交差点に進入し、衝突したとします。

これは、一言で言えば“相手の信号無視”でこちらに過失が無いということですが、
実際には「赤信号で交差点に進入してくる車両を予見することはできず、
回避することもできないから自車には過失が無い」ということです。

別の事例として、センターオーバーによる正面衝突を例に挙げます。

対向車がいきなり自車の前にセンターオーバーで飛び出して来た場合、
自車に過失はありません。

しかし、前方からセンターラインをはみ出しながら向かって来る対向車に対し、
回避もせずに漫然と運転し続けて減速もしなければ、例えセンターオーバーの車両との
衝突であっても無過失とはならないのです。

センターオーバーの動画例

相手がセンターオーバーをしているのを見た時点で、事故の“予見性”が発生し、
“回避余地”も発生します。

回避余地があれば、回避義務も発生し、回避行動をとらなければなりません。

しかし、この“予見性”と“回避余地”とは、ある時点における感覚や判断であり、
事故後に、言葉や文章で表現したり証明することは至難の業なのです。

予見性については、ある程度論議が出来たとしても、
回避余地となると捕え方次第でどちらにでも分かれてしまう恐さがあります。

次の事例をご覧下さい。

予期せぬ出来事の動画例

あなたが二輪車の後方を走行していると仮定した場合、このような出来事を
予見することができますか?

冒頭でも触れた通り、もらい事故でも相手が重傷を負ってしまえば、
自分が刑事被告になってしまう可能性もあります。

日本では、刑事事件において起訴されれば有罪になる確率は99%です。

今週のワンポイントアドバイスです。

“交通事故における切り札は記録された映像だけ!”

これは交通事故の裁判に携わった者として、映像記録が無ければ
反論の余地すら与えられない事故が数多く存在するという警鐘です。

もちろん事故が無いことが一番ですが、運転する以上事故に遭う確率が0%という人は
いません。

もしもの時の備えは必要です。

転ばぬ先の杖ではありませんが、安全運転で快適なドライブをお楽しみください!

それではまた来週をお楽しみに!

                        Vol.44-3 end

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